タイキブリザードが逃げたレースで、ランドはナリタブライアンの斜め後方にて中段待機。道中で外からじわじわとポジションを上げると、直線では伸びあぐねるナリタブライアンを置き去りにしてタイキブリザードをとらえ、最後方待機から直線一気に賭けたヒシアマゾンも1馬身半差で抑え込んだ。現在に至るまで、ドイツ馬によるジャパンカップ制覇はランドのみがなしえた偉業だ。

 ファンによる「史上最強世代」談義では必ず話題に上がり、大人気ゲーム「ウマ娘」でも大きく取り上げられている1998年クラシック世代が主役を張った99年の第19回ジャパンカップに参戦したのが、この年の凱旋門賞馬モンジューだ。

 前年のジャパンカップで同世代のダービー馬スペシャルウィークを下して世代最強に登り詰めたエルコンドルパサーを凱旋門賞で2着に下したモンジューが来日するとあって注目度は抜群。この強敵を、天皇賞の春秋連覇を達成したスペシャルウィークが日本の総大将として迎え撃つ構図となった。

 だがレースは事前の盛り上がりに比べるとあっけない決着だった。中段待機から直線では馬場の中央に持ち出してスパートしたスペシャルウィークが早めに先頭まで突き抜けると、さらに後方から追ったモンジューは日本の高速馬場が合わなかったのか伸びを欠く。最後はスペシャルウィークが好位から粘った香港のインディジェナスに1馬身半差の快勝を収め、モンジューは4着に押し上げるのが精いっぱいだった。

 この時期を境に欧米から大物外国馬の参戦が減少。21世紀に入ってからジャパンカップを制した外国馬はファルブラヴ(2002年)、アルカセット(2005年)しかおらず、それどころか2019年には創設39回目にしてついに外国馬の参戦がなく日本馬のみでの開催となるなど、近年のジャパンカップは国際G1としての存在意義も問われている。

 そうなってしまった原因は日本特有の高速馬場への対応が難しいことや、12月初めに開催される香港国際競走の存在感が高まったことで10月初めの仏G1凱旋門賞から11月初めの米ブリーダーズカップ開催、そして香港国際競争という国際的なレースカレンダーが確立し、ジャパンカップがその枠組みからはじかれてしまったことなどがある(近年は香港への欧米馬参戦も往時ほどではないが、それでもジャパンカップよりはまだ多い)。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
外国馬が参戦するための改革は…