自分にできる範囲で世直しもしていきたいと考えるようなマクロの視点を持ちながら、日常のルーティーンに話が及ぶと、そのミクロな日常を活写する言葉もとても生き生きしていた。
「もともとルーティーンは作らないタイプなんですが、今はわが家には父と姉の位牌を祀った仏壇がありまして。気がついたときにはお線香をあげるようにしています。スーパーに行ったついでに菊の花なんかも買うようになって。毎日は忘れちゃうので、毎回『すいませんでした』って言いながら、なんですけどね(笑)。あとは、小っちゃなことでも自分なりに社会に貢献したいので、最近は自転車移動を心がけています。CO2削減のために、20分ぐらいで着くところなら自転車で向かいます。夏前に買ったから、もう半年近く」
夏の最中、仕事の現場に30分ぐらいかけて自転車で向かったときには、インスタグラムのコメント欄に、「さっき、めっちゃチャリ走らせてる小泉さん見ました」とコメントが来たそうだ。
(菊地陽子、構成/長沢明)
小泉今日子(こいずみ・きょうこ)/1966年生まれ。神奈川県出身。82年歌手デビュー。「木枯しに抱かれて」「あなたに会えてよかった」「優しい雨」などの楽曲を発表。俳優として映画や舞台に多数出演。執筆家としても活躍。2015年に株式会社明後日を立ち上げ、舞台、映像、音楽、出版など、さまざまなエンターテインメント作品をプロデュース。22年2月から、デビュー40周年記念の全国ホールツアーがスタート。
※週刊朝日 2021年12月10日号より抜粋