小泉今日子 [撮影/写真部・加藤夏子、ヘアメイク/宮田靖士(THYMON Inc.)、スタイリング/藤谷のりこ、取材協力/スパイラル]
小泉今日子 [撮影/写真部・加藤夏子、ヘアメイク/宮田靖士(THYMON Inc.)、スタイリング/藤谷のりこ、取材協力/スパイラル]
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 歌手、俳優、執筆家としても活躍しながら、映画や舞台などのプロデュースも精力的にこなす小泉今日子さん。ものづくりの考え方や日常のルーティーンなどを明かす。

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前編/小泉今日子「選挙に行こう」投稿の思い 「大人として申し訳ない気持ちに」】より続く

 子供の頃に、思い描いていた未来がここにある。20世紀の終わりには、小泉さんが仕事を始めたばかりの頃は想像もできなかったコンパクトな携帯電話が普及し始めた。それだけでも驚きなのに、コンパクトな携帯電話は、21世紀には使いきれないほどの機能を備えたスマートフォンになった。レコードはCDになり、小泉さん曰く「昔はタンスぐらいの大きさだった」コンピューターが、いつしか打ち合わせで、カバンの中から最初に現れるようなアイテムになった。

「電気自動車もリニアモーターカーも、あの頃の夢は、ほとんどかなっちゃってる。でも、人間の心に関しては、成長していないところは成長していないままなんですよね。技術は常に進化しているのに、役所での手続きなんかはいまだにアナログのままだったりして、ビックリします(苦笑)」

 選挙での呼びかけが話題になったこともあるが、小泉さんに、自身の世代について話してもらったのには理由があった。小泉さんが出演する舞台「ミネオラ・ツインズ」が、1950年代から80年代の激動の時代を生きた双子の、40年の物語だったからだ。主人公の一卵性双生児の姉妹を、大原櫻子さんがカツラと衣装を目まぐるしく変えながら演じ分ける戯曲。その40年という歳月は、偶然にも来年デビュー40周年を迎える小泉さんの活動期間と重なる。51年生まれのピュリツァー賞作家で、フェミニストとしても大きな影響力を持っている劇作家、ポーラ・ヴォーゲルのこの作品が日本で上演されるのは初。姉妹をめぐる登場人物を二役で演じ分けなければならない小泉さんが、出演を決めた理由はなんだったのだろうか。

「私は生来、新しいチャレンジに目がないところがありまして(笑)。『ミネオラ・ツインズ』の場合は、プロデューサーの北村明子さんから、『ずっと、ポーラ・ヴォーゲルの<ミネオラ~>を日本でやりたかったんだけど、双子を演じられる子がなかなかいなくて。やっと見つけたの』という話を聞いたときに、『北村さんがやっと見つけたと思えた、宝物のようなその女優さんを磨くサポートを、私もぜひやりたい!』と思ったんです。奇麗な宝物を磨き上げる現場に立ち会えることにワクワクした。『大切なものを見つけた!』という、気持ちが煌めくときに放たれる光。その光を、私も大切にしてあげたかった」

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