衆院の選挙制度は衆院選挙区画定審議会で長く審議され、2016年の法改正で、2020年の国勢調査後に「アダムズ方式」を採用することが決まっている。自民党で20年以上、政務調査会の調査役を務めた政治評論家の田村重信さんはこう指摘する。
「審議会で議論を尽くして、決めたこと。人口の増減から1票の格差がきちんとしたデータから算出されているわけで、それに反する改正案にするのは、世論の反感を買い、次の衆院選で自民党は議席を減らしかねない。今回の総務省の発表で一番、ドキドキなのは安倍氏でしょう。林氏が次の首相を狙っているので、自民党内でも安倍氏の情勢が厳しいという話を聞きます。当然、安倍氏が譲れば比例1位という処遇になる。同じように中曽根康弘元首相が昔、中選挙区から小選挙区に移行した時、選挙区事情で終身比例1位となった時期があったが、エコヒイキが過ぎると批判を浴びました。それが頭にありますから、安倍氏も簡単にはおりませんよ。岸田首相もこの問題は頭が痛いところでしょう」
(AERAdot.編集部 今西憲之)