◆令和時代の皇室 変化を迫られる
秋篠宮さまは11月30日の誕生日に先立って開いた会見で、眞子さんの結婚報道について記者から聞かれ、「雑誌であれネットであれ、人を深く傷つける言葉は許容できるものではない」と強い言葉で言及。「記事に対して反論を出す場合には、一定のきちんとした基準を設けて、その基準は考えなければいけない」と話した。
ただ、たとえ間違った事実関係をもとにした批判でも、修正するのは容易ではない。前出の山口さんは言う。
「ネット上の炎上書き込みに参加している人は、『悪いことをしている人は批判を受けるのは当然だ』と考えています。人間は、正義感を持つと攻撃的になりやすい。様々な間違った情報も広まり、それをもとにした批判も少なくないが、皇族の人たちがそれらすべてに反論することは現実的に難しい。炎上を避けるためには、宮内庁が積極的に事実関係を公表して正しい情報を伝えていく必要があります」
批判を恐れて沈黙を続けると、皇室と国民の心理的距離が広がるという悪循環になりかねない。前出の山下さんも言う。
「過去にも皇室批判の報道はありましたが、眞子さんの結婚に関する報道では宮内庁はほとんどが『小室家の問題』として距離を取っていました。結果、メディアとネットユーザーの相乗効果で批判が止まらなくなるという、これまでにない事態になってしまいました。間違った報道に対する対応も必要ですが、まずは宮内庁の情報発信を充実させていくべきです」
メディアの環境が変わり、皇室のあり方も変化の時を迎えている。皇室の肉声は再び国民のもとに届くのか。「令和時代の皇室像」に向けての模索が続く。(本誌・西岡千史、秦正理)
※週刊朝日 2021年12月17日号