避難所を訪れ、被災者に声をかける上皇ご夫妻(当時の天皇、皇后)の姿は、平成の皇室の象徴となった
避難所を訪れ、被災者に声をかける上皇ご夫妻(当時の天皇、皇后)の姿は、平成の皇室の象徴となった

 ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で皇族の方が行事に出席する機会が少なくなり、ただでさえ少ない皇族の肉声を聞く機会がさらに減ってしまった。では、積極的に皇室から情報発信をすればいいかというと、そうもいかない事情もあるという。皇室ジャーナリストで、元宮内庁職員の山下晋司さんは言う。

「皇室取材では通常、会話を録音するための長いマイクの突き出しは認めていませんが、カメラに付いているマイクで拾う程度は認めています。この基準を緩めると、天皇や皇族だけではなく相手側もそれを踏まえた会話になるでしょうし、問題が起きても元には戻せませんので、宮内庁も慎重にならざるをえないのでしょう」

 一方で、皇族の言葉が聞こえないことによる弊害も起きている。眞子さんと小室さんの結婚をめぐっては、週刊誌報道を起点にインターネット上でバッシングが相次ぎ、炎上騒ぎが続く事態となった。その間、眞子さんに反論の機会はなく、沈黙を余儀なくされ、複雑性PTSDを発症するまでに至ってしまった。宮内庁関係者は言う。

「数年前までは、国民からは秋篠宮家の人気が高かったのに、今は批判されることが多くなり、こんなに変わるものかと驚いています。かつては、テレビ、新聞、週刊誌が皇室報道のメインでしたが、今はネットニュースやSNSの普及で伝達のスピードが格段にあがりました。これまでは皇室にそれほど関心がなかった人も、批判報道を見る機会が増えてしまった」

 眞子さんの結婚報道はなぜ過熱したのか。ネット炎上を研究している山口真一国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授は、こう話す。

「小室家の金銭問題はもとは週刊誌が取材したものでしたが、バッシングを広める大きな役割をはたしたのはテレビの情報番組でした。ある研究では、ネット炎上を知る経路は、テレビの情報番組が58・8%、ツイッターが23・2%という結果が出ています。ニュースサイトのコメント欄やSNSを通じて小室さんと眞子さんへの批判が広がり、それをテレビで取りあげるという流れができてしまった」

暮らしとモノ班 for promotion
台風シーズン目前、水害・地震など天災に備えよう!仮設・簡易トイレのおすすめ14選
次のページ