タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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今号のAERAの特集テーマは「人を育てる」ですが、その根本は子ども時代ですよね。どのような環境に生まれても、安全に、安心して暮らせるよう、そして等しく学びの機会に恵まれるよう、公的な制度の整備が欠かせません。
日本では、ひとり親世帯の養育費不払い問題が深刻です。日本のひとり親世帯の貧困率は48.1%(2019年国民生活基礎調査)で、OECD加盟国の中で最も高くなっています。厚労省の調査によると、母子家庭の42.9%が養育費の取り決めをしているにもかかわらず、実際に受け取っているのはわずか24.3%にとどまります。男女の賃金格差と雇用格差が大きい日本では、女性のひとり親世帯の収入は男性のひとり親家庭のおよそ半分しかありません。加えて養育費がきちんと支払われないことが母子家庭が貧困に陥る要因になっています。