何かしたい、とにかく動きたいと思う自分と向き合ったとき、根本にあったのは家族への愛情。そして目にととまったのが、家庭力アッププロジェクトでした。
京子さんの転機はキッチンの片づけでした。家事の中で時間がかかるのは料理。コックピットのように、サッと物に手が届き、サッと戻せるキッチンにして、家事をラクにしたい。夫や息子のテリトリーは、自分が元気になってから考えることにしました。
「アイランドキッチンが文字どおり“夢の島化”しちゃって、玄関から見たインパクトがすごかったんです。きれいにキープできているだけで、気分が上がりました」
これまでは部屋の広さに対して物の量が多すぎました。物の量は家事の量。物を減らせば、物に動かされる頻度が減って、家事のスピードが上がります。
「収納がいっぱいのときはどこに何を置くか考えるのがすごく面倒だったんですが、場所がないなら何を手放そう?という考え方に変わりました」
長い間、見ないふりをしてきた問題に「じゃあ、自分はどうしたい?どうする?」と問いかけながら進めました。リビングや和室、収納のなかも徹底的に見直し、京子さんのプロジェクトは終了しました。
それから約1年。Facebookグループに彼女が久しぶりに投稿しました。
「17歳の誕生日、息子の長い反抗期が終わりました。うまい、うまいと言ってご飯を食べ、母さんと呼んでくれるようになりました。数日間、夢じゃないかと思いました」
この1年の間に何があったのでしょうか。
「片づけをする間、いい意味で家族から目が離せたんです。やりたいことに没頭できて、ちょっと気がラクになって。部屋がきれいになって家庭の雰囲気もちょっとやわらぎました」
前は、何でもそつなくこなす息子に期待して細かく見すぎ、それが自分のストレスにもなっていました。部屋が整うと心も満たされ、自分の生きがいやステップアップに意識がむいたそうです。