林:そうですよね。
八嶋:準備として、自分で日本語で言いたいことや質問案をつくって、それを英語に直してもらったんです。それを丸覚えして、妻(女優の宮下今日子さん)がちょっと英語ができるので、前の日に聞いてもらったら、「うーん、何が言いたいかわかんない」って言うんです。
林:どうしてですか?
八嶋:たとえば、「僕の英語、つたなくてごめんなさい」みたいな話から始めてたんですけど、相手はそんなこと言わなくても「この人英語できないな」ってわかるから、時間がもったいないって。「聞きたいことをなるべく単純な日本語にして、それを英語にして伝えて」って言われました。だから、もう一度単純な英語に直して、必死で練習して行ったんです。
林:ええ、ええ。
八嶋:そうしたら、ジョージ・ルーカスさん、頭がいい人で、そっけないくらい端的に答えるので、当日は5分ぐらいで用意していた質問のストックが終わっちゃったんですよ。
林:あら、困っちゃうじゃないですか。どうしたんですか。
八嶋:まずい、と思ったけど、事前に調べていた話のなかに、彼が昔、育休をとってたという話があったのを思い出して。僕もちょうど子どもが生まれたばっかりだったので、「プリーズ ティーチ ミー ユア ペアレンツ ポリシー?」と言ったんです。そうしたら、「ン?」って興味を示してくれて、そこからすごく生き生きと話してくれたんですよ。変に頭で考えた質問より、その場でエイ!と思いついた、実感のこもった質問のほうが相手に響いたという経験をして、それがあの番組でよかったことですね。
林:それは素晴らしいですね。
八嶋:だから林さんもあと2、3回出ていただいていたら……。
林:いやいや、けっこうです。私の「人生の悪夢ベスト3」の一つですから(笑)。
八嶋:アハハハハ。
(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)
八嶋智人(やしま・のりと)/1970年、奈良県生まれ。90年、中学の同級生・松村武主宰の劇団カムカムミニキーナに参加。以降、舞台、ドラマ、映画などで幅広く活躍するほか、「トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~」などバラエティーでも活躍。近年の出演作に、舞台「月光露針路日本」「あなたの目」、ドラマ「ラジエーションハウス」など。2022年、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演予定のほか、1月7~31日、舞台「ミネオラ・ツインズ」(スパイラルホール)の出演が控える。
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※週刊朝日 2021年12月24日号より抜粋