家族4人で暮らすが、いつ再収容されるか不安な日々を過ごす(photo 横関一浩)
家族4人で暮らすが、いつ再収容されるか不安な日々を過ごす(photo 横関一浩)

■床に頭を押しつける

 独居房は広さ3畳ほど。トイレと水道があり、寝具が敷かれているだけ。天井には監視カメラが設置され、トイレまで24時間監視される。部屋から出られるのは1日わずか30分。外部への電話とシャワー、洗濯をする時だけだった。収容者や職員は、この部屋を「懲罰房」と呼んでいた。フセインさんはここに、2カ月近く入れられた。

 そして、抗議や口答えをすると、「反抗的」だとして入管職員が実力行使に出る。複数の職員が床に頭を押しつけたり、口を押さえつけてきたりした。

「痛い!」「やめて!」と訴えても、力ずくで数十分にわたり押さえつけたという。入管側はこうした行為を「制圧」と呼ぶ。

 フセインさんは食事が喉を通らないまま、50日近く水と砂糖水だけで命をつないだ。精神的に追い詰められ、自傷行為も行ったという。19年7月、ようやく一時的に収容を解かれる「仮放免」が認められた。75キロあった体重は50キロまで減った。骨と皮だけになり歩くのもやっとだった。フセインさんは言う。

「何度も死ぬと思った」

>>【後編】へ続く

(編集部・野村昌二)

AERA 2021年12月20日号より抜粋

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