真理子:そうでしたか。

林:ハーバードの「白熱教室」みたいなディベート方式で、生徒が3人ずつ組になって、お題が出されて、1人はジャッジする人、残りの2人がAの立場、Bの立場に分かれてディベートするんです。10分ぐらいずつやると、今度は立場を入れ替える。それをみんなが発表してシェアするんです。

真理子:なるほど。

林:最初のセッションは藤原さんがリーダーになって、二つ目以降のセッションは生徒がやるんです。ハーバードでいうと教授の役割ですね。これはおもしろかったです。いまの教育現場に行くと、いろいろなことが進んでいることがよくわかります。

真理子:そんなことをされていたとは知らなかったです。

林:日本が提唱する「ソサエティ5.0」に向けて、今度小学校に入る子が大学を卒業する16年後には、おそらくスマホの次かその次ぐらいまで進んで、AIもすごく進歩するでしょう。文科大臣のときは、そういう世の中に今の子どもたちが出ていく前提で、それまでにどのようなものを備えるべきかをずいぶん議論しました。「個別最適化された学び」というテーマで、1人1台の端末を全国に配布して、単に教科書に書いてあることをそのまま吸収するのではなく、なぜなのか、このことが自分の将来のキャリアにとってどういう意味があるのかを考えながら学んでもらう方向でスタートしたんです。

真理子:いくつもの大臣を歴任されて、数年前から「林芳正さんを総理に」という声が私の周りからも出てきてまして、今回の選挙では衆議院に鞍替えされたし、いよいよ総理に近づいてきたなという気がします。山口県は安倍元総理のお膝元でもありますし、非常に保守的な長州の流れをくんでいると聞いてますが、そうなんですか。

林:私、いまでも覚えていますが、26年前、34歳で最初に参議院選挙に出たとき、ごあいさつ回りで、ある首長さんから「ベテランの先生方がいらっしゃるので、君がすぐにこの地域の予算を獲得してくれることを、それほど期待しているわけではない。ただし、30代前半のいま国会に出るなら、総理を目指す気はあるのか。その気があるなら応援してやる」と言われて仰天したんです。まだ参議院議員になれるかどうかわからない若者をつかまえてそうおっしゃる。そういう気風が、長州、山口県にはあるんだなと思いましたね。

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