年の瀬を迎え、連日のように各球団の契約更改の話題が報じられている。交渉後の会見では、シーズンで活躍し、大幅アップをかち取った若手選手が、上がった分の年俸で「何を買う?」と質問されるのも、ほぼお約束だ。
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過去には、この種の質問に対し、「エッ?」と思わず目が点になるような珍回答をした選手やアップ分でスケールの大きな買い物をした“剛の者”もいる。そんな契約更改にまつわる珍事を振り返ってみよう(金額はいずれも推定)。
まずは1994年に年俸800万円から8000万円というプロ野球史上最高のアップ率900パーセントの快挙を達成したオリックス時代のイチローから。
入団3年目のこの年、仰木彬監督のアイデアで本名の鈴木一朗から登録名「イチロー」に改名すると、打率.385で首位打者、プロ野球新記録のシーズン210安打で最多安打、最高出塁率(.445)と3つのタイトルを獲得。さらにベストナイン、ゴールデングラブ賞、正力松太郎賞も受賞し、打者では史上最年少(21歳)のシーズンMVPにも輝いた。
これだけ八面六臂の大活躍をすれば、年俸もドカーンと上がるのは確実。12月16日の契約更改を前に、イチロー番記者たちは「(タイトル料など)込み込みで8800万円」「ズバリ7000万円台」などと予想し合っていたが、オリックスの提示は、さらにその上をいった。
契約更改後、会見に臨んだイチローは「(タイトル料と)特別オーナー賞などと、新年俸で大台にいきました」と総額1億円に達したことを明らかにしたのだ。
早速「1億円の使い道は?」の質問が飛ぶと、イチローはあっけらかんと「そうですねえ。セーターを買います。あったか~いのを」と回答。1億円プレーヤーにしては、あまりにもささやかな希望が“庶民的”と話題になった。
堅実なイチローとは対照的に、“宵越しの銭を持たない”大散財をして、あとであたふたする羽目になったのが、92年の阪神・新庄剛志だ。