同年、プロ3年目の新庄は5月下旬からレギュラーに定着すると、規定打席不足ながら打率.278、11本塁打、46打点の成績を残し、守備でも味方のピンチを救うスーパープレーを連発。亀山努との“亀新コンビ”で、チームを2年連続最下位から2位に躍進させる大きな力となった。
そして迎えたシーズンオフ、年俸520万円からどこまで上がるか注目されるなか、新庄は11月29日の契約更改で、球団史上最高のアップ率となる323パーセントアップの2200万円で一発サイン。当時では、61年の中日・権藤博の400パーセントに次ぐ球界歴代2位のアップ率でもあった。
「ビックリしましたよ」と驚きを隠せない新庄は「自分の考えてた金額より多かった。自分の成績はたいしたことないのに、あれだけ出してくれて喜んでます」とニコニコ顔。会見後は、約100人もの追っかけ少女たちをゾロゾロと引き連れて球団事務所をあとにするモテ男ぶりだった。
さらにその後の行動も、“宇宙人”の異名をとった新庄らしい。「2200万円を貰ったのだから」と、前からプロ野球選手のステータスとして憧れていたベンツを2000万円で思い切りよく買ってしまったのだ。
「残り200万円で1年間過ごせればいいかな」と安易に考えていたそうだが、大事なことを忘れていた。
車の購入費用以外に取得税などの諸経費がかかるうえに、当然年俸に対しても所得税がかかってくる。結局、不足分は借金して何とかしのいだという。
翌93年は、打率.257ながら、チーム最多の23本塁打を記録し、ベストナインに選ばれたことから、年俸も倍近くの4300万円にアップ。これも借金返済のために奮起した結果と言えなくもない?
前出のイチロー以上に堅実そのものの回答をしたのが、97年にセ・リーグの新人王に輝いた広島・沢崎俊和だ。
プロ1年目にチーム最多の12勝を挙げた沢崎は、12月8日の契約更改で1300万円から3100万円に大幅アップし、一発サインした。