火災があった曽根崎新地のビル前で花を手向ける女性
火災があった曽根崎新地のビル前で花を手向ける女性
この記事の写真をすべて見る

 大阪市北区曽根崎新地の雑居ビル4階にある心療内科クリニックで25人が死亡した放火殺人事件で、大阪府警が容疑者として氏名を公表していた谷本盛雄容疑者(61)が12月30日、市内の病院で死亡した。

【動画】ビル火災で消防士が逃げ遅れた人を救出した緊迫の現場

 府警は今後、被疑者死亡のまま書類送検する方針で、事件の真相や動機は「藪の中」となった。

  谷本容疑者は事件があった17日、心肺停止状態で搬送され、手足や喉に火傷を負った上、一酸化炭素中毒で重篤な状態が続いていた。

「谷本容疑者はクリニックに放火した後、階段付近で倒れていたところ、消防隊に早々に救助されていた。だが、煙による一酸化炭素中毒で意識はずっと回復しなかった。結局、捜査員は一度も事情聴取をできぬまま、亡くなった」(捜査関係者)

 谷本容疑者は17日朝9時半頃、大阪市西淀川区の自宅を放火した後、自転車でクリニックに向かい、犯行に及んだとみられる。

 AERAdot.は事件当日夜に谷本容疑者の知人である居酒屋経営者Aさんを取材したところ、こう証言していた。

「西淀川区で自宅を放火し、曽根崎新地のクリニックで放火事件を起こした男には心当たりがある」

 翌朝、Aさんから教えてもらった西淀川区の阪神電車姫島駅から徒歩5分の場所にある谷本容疑者宅を訪れたところ、すでに府警の捜査員や消防が集まっていた。

 その後、谷本容疑者が12年前まで勤務していた板金工場の社長も取材したところ、「事件をニュースで知った時、ひょっとして谷本容疑者がやったのではないか」と頭を過ったという。

 知人らが語る谷本容疑者の特徴は、「カッとして切れやすい」という点だ。前出のAさんは3年ほど前に谷本容疑者が突然、激怒したシーンを目撃し、今でもハッキリと覚えているという。

 その日は、谷本容疑者が好きな競馬のG1レースの日だった。谷本容疑者は居酒屋の飲み仲間と場外馬券売り場で競馬を楽しんでいた。しかし、レースでアクシデントが発生して、谷本容疑者の馬券は紙くずとなった。

次のページ
競馬にのめり込んでいた容疑者