「社史に残るようなビッグイベントを統括するマネージャーを週休3日でこなしたことは、会社としてもいい前例ができたのではと思います」

 こう話すのは、IT大手ヤフーの法務統括本部で働く和田山加代子さんだ。管理職に昇進したのは2020年4月。夫は単身赴任中で下の子は小学校入学を控えていた。4月には新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言に突入。自宅で仕事をしながら子どもたちと一緒に過ごす日々が始まった。

「本当は20年のはじめから週休3日の制度利用を考えていたのですが、昇進が決まり、初めての管理職でどのくらい自分に負荷がかかるのかが分からないと思い、10月からの利用に変更しました」(和田山さん)

photo ヤフー提供
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■長女の中学受験を支え

 子どもと一緒に過ごしながら自宅で仕事をする生活は、それなりに苦労はあった。だが、初めて管理職になった和田山さんにとって、コロナ禍が理由で全社的に在宅勤務が可能になったことは追い風となった。

 和田山さんがマネージャーとして抜擢(ばってき)されたのは取締役会を取り仕切る部門。過去にマネージャーを務めた人々は社内外を熟知した“10年選手”や関連会社の執行役員になるようなベテラン社員ばかりだった。引き継がれた資料を見ると、裏方としての準備フローは幾重にもなっており、かなりの重責だとうかがえた。ところが、コロナ禍でヤフーは取締役会をオンラインとのハイブリッドで行うことを決定。つまり、従来のやり方を踏襲する必要がなくなった。

「関係部署などとも話し合い、業務を精査する機会になりました」(同)

 業務の流れを見直したことで、週休3日にしても自身が責任を負う業務が回るめどが立ったため、その年の10月から週休3日の働き方をスタートさせた。平日に1日休みが取れることで、子どもたちに向き合える時間が増え、暮らしにゆとりも生まれたという。

「上の子は中学受験に向けて勉強に力を入れるタイミングでした。塾の授業の前日に自分の休みを入れたことで、復習や予習を見てあげることもできました」

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