長女は無事に受験を終え、この春、希望の中学に入学した。
翌年度には昇給もした。この昇給には週休3日勤務の時の評価が反映されている。和田山さんの存在は、週休3日の働き方でも、管理職や昇給をあきらめなくていいというメッセージとなっている。
ヤフーでは、これまでも長時間労働が美徳とされてきた日本の働き方に一石を投じる制度を発表してきた。その一つが、週休3日で働くことができる「えらべる勤務制度」だ。実はこの制度、もともとは親の介護でフルタイムで働くことが難しくなった社員の増加を受けて5年前に作られた。介護や育児の事情のある社員が利用でき、開始当初は介護での利用も多かったが、現在は育児事由で取る社員が9割になった。和田山さんはこれに加え、自分で働く場所を選べる「どこでもオフィス」制度も利用。在宅勤務との組み合わせで管理職初年度と子育て、コロナ禍を乗り切った。
「どこでもオフィス」制度は、育児や介護などの事由制限がない。同社は今年この制度をさらに拡充、居住地制限を撤廃し、飛行機や特急、高速バスの費用も通勤手当として認めるようにした。同社コーポレートグループのピープル・デベロップメント統括本部コーポレートPD大森靖司本部長は言う。
「『どこでもオフィス』は一定の責任範囲内で成果を最大化できるなら、働く場所を選んでいいですよ、という制度です。カフェでやる人もいれば、自宅という人もいる。自由と責任はセットだということを社内では話しています」
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2022年10月31日号より抜粋