紅白のエンディングでは、アーティストらが一堂に会する。「2022年がどんな1年だったかを音楽を通じて伝えたい」と加藤さん(photo NHK提供)
紅白のエンディングでは、アーティストらが一堂に会する。「2022年がどんな1年だったかを音楽を通じて伝えたい」と加藤さん(photo NHK提供)
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 昨年の大みそかの「第73回NHK紅白歌合戦」は、第2部の平均世帯視聴率が35.3%と、前回より1ポイント上がった。数字が上向いた一方、若者に人気の出場者が目立ったことから、「若者偏重」という声があがっている。「紅白」の制作統括を務めたNHKの加藤英明チーフプロデューサーが、その裏側を語った。AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。

【写真】加藤さんが実際に使っていた昨年末の「NHK紅白歌合戦」の台本はこちら

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──若い世代に人気のアーティストが多数出場することから、若者偏重になっているという指摘もあるが、きっぱりと否定する。

 僕としては、若返らせたいと思ったことは一度もないんです。キャスティングを決めるときは、CDなどのフィジカルから配信、合算と複合的に指標を見ます。それに加えて、電話とネットで世論調査をやって、見たいアーティストと世の中で売れているアーティストのリサーチもしています。ただ、そうしたときに突出して売れているのが若い方だというのは事実で、その結果を無視することはできません。

 一方で、数字を上げるためにというと生々しいですが、紅白に関しては40代以上の方にも見ていただかないと、満足いく結果が出せないということもわかっています。

加藤英明チーフプロデューサーが使っていた第73回NHK紅白歌合戦の台本(撮影/小暮誠)
加藤英明チーフプロデューサーが使っていた第73回NHK紅白歌合戦の台本(撮影/小暮誠)

■平和と愛を掲げた理由

──だが、反省もある。

 最初の発表で若いアーティストの名前ばかりを並べてしまいました。若者偏重だという指摘はここ数年言われていて、世の中にそうしたイメージが広がっている。特別企画としてユーミンや安全地帯、桑田佳祐さんの企画や加山雄三さんといったベテランアーティストの発表もしましたが、世間のイメージをふまえると、事前の打ち出し方も工夫できたんじゃないかと思っています。

 バランスよく年代をとって作ったつもりですが、若者偏重だと言われてしまうイメージが定着してしまったのは残念ですね。

──今回の紅白は、3年ぶりに渋谷のNHKホールに満員の観客を迎えて開催した。

 これまでアーティストのなかには、コロナ禍で活動ができず、年末にみんなで歌を歌いましょうという気持ちになりづらいという方もいたんです。それが今回は「LOVE & PEACE」というテーマも含めて、「自分たちが1年間のなかでやってきたことを伝える場があるとうれしい」という方が増えました。

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