※写真はイメージです (GettyImages)
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 将来、病気介護などに必要となるお金も準備しながら、旅行や食事など日々の生活も我慢せずに楽しむ。だけど、やりくりが苦手で目の前の節約で精いっぱい……。そんな人も年金収入だけで楽しく生活できる方法を教えます!

【図表】正しい家計管理にする4つのステップはこちら

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 5年前にリタイアしたAさん(69)は、妻(68)と2人暮らし。子どもたちは独立してすでに家庭を持ち、悠々自適とは言い難いが、定年ライフを楽しんでいる。

 ところが最近、不安を抱くようになったのは「家計」のこと。年金収入が70歳から少なくなるので、今までどおりの生活スタイルでやっていいのか、元気なうちは少しでも働いたほうがいいのか、悩み始めたという。

「年金収入は夫婦合わせて年間約340万円あります。しかし、私の会社の企業年金は60歳から70歳までの10年間しか支給されないので、もうじき年間60万円もマイナスになってしまうのです。そこにきて今の物価高を考えると、このままの生活スタイルを続けても大丈夫なのか不安になってきました」(Aさん)

 年金収入は月額にすると約28万3千円。70歳以降は5万円減額となる。

「私たちは派手な買い物はしないので、年金を使い切ることはありませんが、家計簿はつけていない“どんぶり勘定”なので、全財産がいくらあるのか正確に把握したことはありません」と、Aさんは言う。

 今年10月に、6500品目を超える食料品や飲料品などが値上げのピークを迎える。民間の信用調査会社によると2人以上の世帯で年間負担は平均6万8千円増にもなる。

「食料品などが値上がりするこのタイミングで、1カ月の収支を把握して予算を立てて家計を管理することをお勧めします。しかし“順番”を間違えると赤字は解消されないどころか、老後破綻を招いてしまいます。節約することばかりに気をとられると失敗します」

 そうアドバイスするのは、『正しい家計管理 長期プラン編』(すみれ書房)の著者で、公認会計士・税理士の林總さん。生活費をやみくもに縮小させるのではなく、年金収入だけでも生活が成り立つシステムを作ることが大切という。

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