この「主人公に敵対した相手でも、必ず最後は反省する」展開は、「渡鬼」でもしばしば見られました。敵も最後は主人公の味方になって大団円。嫌な奴を嫌なだけで終わらせずに「回収」するのです。
この点について、『昭和ドラマ史』(映人社)の著書がある上滝徹也日本大学名誉教授(テレビ文化史専攻)は、「橋田壽賀子作品には必ず『緻密な構成力』と『徹底した女性視点』がある」と、高く評価します。
「NHKの朝ドラ『ちむどんどん』を批判する声に、事件が起きたら起きっぱなしで回収しない、という声があるようですが、橋田壽賀子作品にはそういったことは絶対に起こりません。構成が緻密だからです。そして相手が秀吉だろうが大石内蔵助だろうが、女性にきっちり主張させる。女性の声を登場人物に語らせて世に問う姿勢は橋田さんならでは。令和の時代こそ、橋田さんの女性視点にたった作品が、もっと放送されるべきでしょう」。
●早起きの価値あり!の再放送
「渡鬼」とたくさん共通点がある、そして橋田壽賀子作品の醍醐味を豪華キャスト出演の大河ドラマで堪能できる「おんな太閤記」。「渡鬼ロス」を解消するにはもってこいです。来年の3月まで、週に一度、日曜日の朝に再放送されています。午前7時15分からとお休みの日にしてはちょっと早いですが、ぜひ早起きしてご覧ください。
【DATA】
大河ドラマアンコール「おんな太閤記」
毎週日曜日7:15~8:00 BSプレミアム、BS4Kで再放送中(2023年3月まで)
(本誌・工藤早春)
※週刊朝日オンライン限定記事