配管むき出しのトイレと
補修跡だらけの壁
まず見ていただきたいのがこのトイレだ(下写真)。昭和の官舎では配管むき出しが標準だそうだ。剥き出しとなったパイプの白い塗装が剥がれ、所々地肌がむき出しになっているのがわかる。塗装が落ちるとその部分が空気に触れ、さびが発生し腐食が起きやすくなる。床のタイルも薄汚れた色で、素足で入るには抵抗がある。それでも、この官舎は洋式便器に交換されているだけマシだそうだ。
入居者が故障した設備を自腹で付け替えればいいではないかという意見もある。しかし、自己負担で修理や交換ができない理由がある。官舎は公的な資産なので、それを私財で改修すれば退去時に現状復帰義務がある。せっかく自腹で修繕しても、退去時にもう一度、現状復帰費用がかかってしまうのだ。
下の写真では、老朽化で壁に穴が開いたのか、補修が目立っている。入居時に現状復帰するために撮影し、修繕跡も退去時にチェックされる。バカバカしいルールにあきれかえる。
「現在住んでいる宿舎はかなり古く、ふすまが完全にしまらない、壁にヒビが入っている、建物がゆがんでいるせいで室内の扉が閉まらない。私生活に支障をきたしております」という悲痛な声が筆者に多数寄せられた。
実際、構造上も問題のある建物は多い。下の写真は九州の小倉にある自衛隊員が入居している公務員住宅である。建物の外壁は、ひび割れた箇所が応急処置のまま残されている。凸凹のある外壁や至る所に残された補修後を見ると、安全に住めるのか怪しく思えてしまう。