田迎さんは、食物連鎖など自然の在り方に人間が手を入れた過ぎた結果、スズメバチは人の住む場所に巣を作らざるを得なくなり、人間との距離感が変化した。その結果、スズメバチと人が鉢合わせすることが多くなり、刺される人が増えたのではと分析する。
「本当は人間とスズメバチが共存できればいいのですけどね。クマが街なかに出てくるのと似ているとも思いますね」
と田迎さんは話し、明日も朝早くからスズメバチ駆除の依頼があり、最近忙しいと続けた。
では、なぜスズメバチ駆除をしているのだろうか。
「蜂が好きなんですよ。実はミツバチを育てているんですよ」
田迎さんは実は養蜂家でもある。オオスズメバチはミツバチの天敵であるので、ミツバチを保護する目的もある。駆除したスズメバチは幼虫を自分たちで食べたり、巣は標本として飾っているという。駆除したスズメバチも大切な資源として有効活用しているのだ。
田迎さんは無駄なものはないし、昔をそれを自然にやっていた。それを今一度考え直す必要があると言う。
「スズメバチの駆除も実は持続化な社会に貢献しているのかもしれないですね」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日オンライン限定記事