AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:1人で旅行に行くのが好きで、コロナ禍前は半年に1回のペースで行っていました。ここ2年はできていませんが、漠然とどこかに行きたい気持ちが出てきています。でも、以前のように旅行を楽しいものだと思えず、移動だけで疲れそうなどデメリットばかり考えてしまいます。どうすれば、以前のように楽しい気持ちで旅行先を決められますか。(女性/会社員/25歳/みずがめ座)
A:今の時代の空気を見事に代弁しているようなご相談だなと思いました。
「一人旅が好きで、でも……」っていう、この「でも」が今の空気の特徴を表していますよね。
この「でも」は、つまり虚無感です。やって何になるんだろうとか、以前のように楽しめないんじゃないかとか、行動する前に「空想」が先に出てきている状態。
やってみたらきっと楽しいだろう、という結論にたどり着く自信がないという人たちは、相談者さん以外にもきっと多いように思います。
これまでの数年間、ウイルスや社会情勢など、我々が毎日向き合ってこなければいけなかったものは目に見えないものです。仮にウイルスが目に見えるものだったら、もしかしたらここまで苦しまなかったかもしれない。
僕たちの脳みそは、目に見えないものをやっぱり一番怖がる気がします。お化け屋敷とかでも、角を曲がる前が、一番いろんな想像しちゃって怖いじゃないですか。
目に見えないからこそ、どこまで怖がるかは個人個人によって全く違うし、解決策も人によって異なります。以前だったら「この行動をしてみたら楽しいかもしれない」という結論にたどり着けていたことが、「そんなはずがない」という結論になってしまう。普段僕らが持っている「想像力」が、不安と心配にかなり過剰に分配されてきた気がします。