『万葉集の筑波山』(井坂敦実 結エディット)
『万葉集の筑波山』(井坂敦実 結エディット)

■筑波山を詠んだ歌はなぜ多いのか? 40年以上の地道な研究の成果
『万葉集の筑波山』(井坂敦実 結エディット)4180円
くまざわ書店

 つくば市のランドマーク、筑波山。当店が入るSC・イーアスつくばからも見えるこの山は、日本最古の歌集「万葉集」の中で、富士山や大和三山より登場回数が多い山でもあります。

 著者の井坂敦実氏は、つくば市生まれの郷土史家。本書は「万葉集」の中から、筑波山が詠い込まれた25首を取り上げたアンソロジーです。郷土を悉知する井坂氏ならではの視点をまじえ、「大意」「語釈」「解釈」の3視点から歌を読み解く本書は、万葉の世の人々と井坂氏の筑波山愛が溢れる一冊です!

ACADEMIAイーアスつくば店(くまざわ書店) 関康祐さん

■発売直後の週間売り上げランキング文芸書部門1位、総合2位!!
『ルポ 池袋アンダーワールド』(中村淳彦・花房観音 大洋図書)1650円
ジュンク堂書店池袋本店

 再開発が進み目まぐるしく変化している池袋。大きなピカピカのビルが立ち並び、公園も見違えるほどきれいになった。そんな中紹介したいのがこの一冊だ。

 岡本綺堂の「池袋の怪」という小説を皮切りに、心霊的な話から繁華街ならではの性風俗の話まで池袋をとりまく表には出ない、池袋に住み、または勤めている人なら肌で感じているまさにアンダーグラウンドな話が満載。きれいなだけの水では生きていけない、情がない。そんな人に贈りたい。池袋の猥雑で懐の深さを再認識する一冊。

ジュンク堂書店池袋本店 森暁子副店長

【未知のご当地本を探すには?】

「地方における出版活動は、その土地の文化水準のバロメーター」

 こう言われて久しい。ご当地本は、それぞれの地方の出版社や新聞社、テレビ局の出版部門が編集・発刊するケースと自費出版があり、その地に息づく文化や歴史、民俗学を支えてきた。

教育県と言われる長野、岡山は伝統的に発信力のある出版社が頑張っています。また北海道や沖縄といった、より個性的な歴史や文化を持つ地域は、他に比べると人口以上に点数が多い傾向にある」(地方・小出版流通センター・川上賢一社長)

 手っ取り早く探すには、同社が情報提供しているインターネットサイト「地方出版、少部数の本☆新刊速報」がお勧めだ。

 また、本棚をながめつつ見つけるなら、日本一のご当地本在庫・4500冊を誇るジュンク堂書店池袋本店9階の「ふるさとの棚」へ。

「歴史、文化を中心に揃えており、よりディープな情報、知識を盛り込んだ本を宝探しのように見つけられるのが魅力です」(同店・森暁子副店長)

(高鍬真之)

週刊朝日  2022年9月16日号より抜粋

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