そんなロボットはほかにもある。18年にソニーから発売されたペットロボット「aibo(アイボ)」は、先代の「AIBO」からより生命感のある体や動き、表情に進化。センサーで人の接近やボディータッチを検知し、額をなでられると気持ちよさそうに首を傾げるなど、本物の犬に近い動作を行う。産業技術総合研究所が開発したアザラシ型ロボット「パロ」は、人の心を癒やすセラピーロボットとして、動物を飼えない病院や高齢者施設などで幅広く導入されている。タテゴトアザラシの赤ちゃんがモデルで、なでられたり抱っこされたりすると、鳴き声や体の動きで喜びを表現する。今年6月にはポーランドの医療機関に贈呈され、ロシア侵攻によりウクライナを追われた避難民の心のケアにも役立てられている。
こうしたロボットの存在は、友情や愛情といった人間の関係性が「与え合う」ことで育まれることを示唆している。ロボットやAIは、人間社会を豊かにする、あるいは人間の仕事を奪うといった一方向の存在ではなく、互いに苦手な部分を補い合うインタラクティブ(双方向)な関係性の中でこそ進化していくのかもしれない。(ライター・澤田憲)
※AERA 2022年8月15-22日合併号