特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」が8月31日まで日本科学未来館で開催中だ。多彩なロボットと最先端技術に触れるチャンスだ。AERA2022年8月15-22日合併号の記事を紹介する。
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1920年に作家カレル・チャペックが初めて言葉にした「ロボット」は、今や私たちの生活に欠かせない存在になった。
東京・お台場にある日本科学未来館で開催中の特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」では、国内外で活躍する約90種130点のロボットと触れ合える。本展のテーマは「人間とはなにか?」。会場には「からだ」「こころ」「いのち」の三つのゾーンがあり、人間の見た目や動き、感情、思考、コミュニケーションなどを研究して開発されたロボットと触れ合い、「人間らしさ」について考える。
■自分の体とシンクロ
「からだ」ゾーンでひと際目を引くのが、汎用人型重機「零式人機 ver.1.2」だ。人機一体、JR西日本、日本信号の3社が共同開発を進める高所作業用ロボットで、高所作業現場における肉体的苦役や重大事故をなくすために開発された。
零式人機は、自分の体を動かすようにシンクロナイズした操作ができる。作業現場では、対象物の形状や大きさ、周囲の障害物などにより柔軟に動きを変える必要があり、動作が自動化された産業用ロボットでは作業の代替が難しい。零式人機は、判断はあくまで人間に委ね、操縦者の動きや力を増幅するインターフェースとして設計された。
操縦者とロボットの頭部はVRゴーグルを通じて連動し、ロボットの目線から周囲の状況を確認できるだけでなく、上下左右に首を振るとロボットの頭も同期して動く。また、物を動かしたり掴んだりする力を緻密にコントロールすることも可能で、物の重みや反発などの感覚がレバーを通じて操縦者にダイレクトに伝えられる。
会場では、VRゴーグルを装着して頭部の操縦を体験できる。実際に操縦してみたが、自分の頭とほとんど誤差なくロボットの視点を動かすことができ、まるで巨人になって地上を見下ろしているような感覚があった。