1部となるプレミアリーグでは、クラブユースと高校を交えた全国の上位20チーム(来年度から24チーム)が東西グループに分かれ、1年近くにわたって総当たり2回のリーグ戦を行う。強豪同士で強度の高い公式戦を重ねれば、その分全国で戦う上でのアドバンテージにもなるため、リーグに属さない学校との格差は広がっていく。

 公立でも1部プレミアリーグに所属する2校が、市立船橋と大津だ。

 市立船橋は、1994年の初優勝以来、4人の監督が指揮を振るい、計5回の全国制覇を果たしている。「4代も続けて公立高校の先生が常勝で引き継いだ例は、市船ぐらいではないか」と元川氏が語るように、市立船橋は長きにわたり存在感を放ってきた数少ない公立校だ。

 大津も公立高校でありながら「名将」「プレミアリーグ在籍」の要素を満たす数少ない高校だ。大津を語る上で、30年近く指揮を執る平岡和徳総監督(56)の存在は欠かせない。

「全国で10人の名将を挙げるとしたら、まず平岡さんは入るでしょう。平岡さんは過去にW杯選手3人を輩出した指導者。彼のもとで指導を受けたいと言って、遠方から入学する選手もいます。公立高校で名将とされる人は、平岡さん以外はほとんど引退してしまいました。現在、宇城市教育長を務めながら総監督を続けている点をみても、平岡さんは特別で、大津がごく普通の県立高校ではないということを示しています」

 そのうえ、大津はプレミアリーグにも所属する数少ない公立校。強豪クラブがひしめく西日本で10チーム中4位に位置する点で、総合力の高さを示している。

 だが、強豪であり続けるうえで、資金力も必須だ。プレミアリーグの参加で必然的に遠征の機会は増え、保護者の負担も膨れ上がる。JFA(日本サッカー協会)が補助金を出しているものの、まかなえる人数が限られているため、自己負担になることも多い。

「(大津の平岡総監督も)プレミアリーグに参加すると、ものすごくお金がかかるといったことを話されていました。もはや保護者や学校単位ではまかないきれないくらい、活動の幅が広がっている。部活動のレベルを超えているといっても過言ではないでしょう」

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選手権上位校には財政的なサポートも必要