公立高校が直面する資金面での課題は、今大会で大津が支援金の緊急募集に踏み切ったことでも表面化した。同校は滞在日数の延長で活動資金の不足が懸念されることから、6日に部の公式ホームページで「保護者会からのお願い」と題して支援金の緊急募集を行い、約1000万円の寄付を集めた。だが、これに対して一部からは「部活動の費用なのだから保護者たちの負担でまかなうべきだ」などの批判も上がった。

 これに対して、運営側はどう捉えているのか。大会運営に携わる全国高等学校体育連盟の担当者は、「(詳細を)まったく把握していないのでコメントはできない」。高校サッカーインフォメーションセンターは「特に規制しているわけではないので、こちらから何かコメントすることはありません」と回答した。

「首都圏開催の選手権の場合、試合期間が空いても、本のような遠隔地だと気軽に往復はできません。今回から試合後には必ず最低1日の休養日が設けられ、選手ファーストの体制は整ったのですが、その分、勝ち上がったチームは滞在期間が長くなる。だからこそ、上位進出校に対する財政的なサポートは必須でしょう。支援の輪がちゃんと作られるようにしていくべきですし、100回大会を機に、各校の負担が重くなりすぎないような費用負担の在り方を議論してほしいです」(元川氏)

 今後、公立高校が勝ち上がるためには何が必要なのだろうか。

「『サッカー強豪校』を維持する特別な対応が必要でしょう。指導者の転勤を数年に1回と決めず、スペシャリスト監督を長期間、勤務させられるような体制を作り、有望な中学生を何人か優先的に入学させられる形を取るのも一案です。さらに言うと、外部コーチに腰を据えて指導してもらえるよう、潤沢な予算で雇えるようにすることも重要ですね。そうでもしないと、名将を擁し、しっかりした基盤を確立させてハイレベルな指導する私立高校との差を埋めるのは難しいと思います」

 腰を据えた指導体制の確保と、資金面での課題解消。難題を乗り越え、いつの日か公立が優勝する日に期待したい。(AERA dot.編集部・飯塚大和)

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