だが、トランプ氏は、新型コロナを風邪のようなものだと軽く考えて感染し、ホワイトハウス内でクラスターを起こしてしまった。そうした経緯もあって、大統領選挙でバイデン氏に敗れたのである。
もっとも、バイデン氏も中国を脅威と考えている。特に中国の台湾への軍事攻撃は絶対に許容できないとしている。先の日米首脳会談は、当然ながらそのことが課題である。バイデン・菅両首脳は、中国が台湾を軍事攻撃すれば、米日両国とも中国と戦わざるを得ない、ということで一致したようだ。
そこで菅首相が、そうした事態を生じさせないためにどうするべきかを組み立てるべきと主張すると、バイデン大統領はそれこそが最重要であり日米でそれを実現させなければ、と強く受け止めたということだ。
さて、そうした事態を生じさせないためにどうすればよいのか。そのことを構築するために、バイデン氏はいきなり日米首脳会談を冒頭に持ってきたのである。岸田政権は米中対立にどう立ち向かうのか。大事な一年になる。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年1月21日号