写真はイメージ(GettyImages)
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 肥満や高血圧を既往歴に持ち、コロナワクチンも未接種であったことから、Covid-19の重症化するリスクのあるAさんのことを考えると、発症してすぐにCovid-19と判断できよかったと思う反面、「Covid-19で隔離になってしまったら、新年早々出勤できないので、それは困る」というお気持ちもよくわかるため、私の心中は複雑でした。

 まずは、インフルエエンザは陰性であったこと、そして、検査キットが、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを同時に判定する抗原迅速診断キットであったことを説明し、Covid-19陽性であったことを伝えました。

 保健所にも同時に報告し、Aさんは同日、入院となりました。Aさんによると、自宅やホテルでの隔離という選択はなく、入院一択だったと言います。今のところ重症化はしておらず、数日で37度代まで解熱し、食欲もあり、とても元気だといいます。

 AさんのPCR検査の結果、デルタ陰性であったことから、今、全国的に感染が広がっているオミクロン株であったと考えています。オミクロン株感染者はデルタ株感染者より62%入院リスクが低いというイギリス政府の保健安全保障庁による解析結果の報告や、アメリカ政府の首席医療顧問であるファウチ氏が、「オミクロン株はこれまでの変異ウイルスよりさらに感染力が強いものの、複数の研究から、オミクロン株はほかの変異ウイルスに比べて重症化しにくいことが示されている」と述べている通りだなと実感しています。

 Aさんも、経過を見る限り、特例承認された経口の抗ウイルス剤「モルヌピラビル」を内服していただき、自宅療養で経過観察すればよかったのでしょう。しかし、日本のコロナ対策は、感染症法に基づいた防疫措置です。感染症法で規定された病原体、つまり新型コロナウイルスに感染すれば、たとえ無症状であっても、「病院」に強制隔離されることが感染症法に規定されているのです。

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陽性判明後の対応に疑問