日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本が遅れるワクチン3回目接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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「オミクロン株」の感染が、日本でも拡大しています。1月8日時点で、全国の新規感染者数は8,302人。仕事始めだった1月3日の外来で、抗原検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)陽性を一件確認しました。
その方(以後、Aさんとします)は、前日急に38度を超える発熱と倦怠感を認め、翌日になっても熱が下がらなかったため外来を受診。明日から仕事始めで、念の為、「インフルエンザかどうか確認したい」とおっしゃいます。
今年の冬も、昨年同様、日本においてインフルエンザの流行は見られていません。厚生労働省の報告によると、12月20日から26日のインフルエンザの定点(発生数を保健所に報告することになっている医療機関)あたりの報告数は49件で、昨年同時期の70件よりも少ない値になっています。
私自身、コロナのパンデミックが始まってから今日に至るまで、インフルエンザの迅速検査を実施するも陽性になったことがありません。そのため、Aさんもインフルエンザ陽性よりは、コロナ陽性になる可能性が高いと考え、インフルエンザ検査と同時に、PCR検査も提案しました。しかしながら、「インフルエンザなら会社を休むことができる。でも、Covid-19なら隔離になってしまうから困る」とおっしゃいます。
そこでひとまず、インフルエンザ抗原検査を行うことにしたところ、1分もたたないうちに、Covid-19陽性と判明。幸か不幸か、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを同時に判定する抗原迅速診断キットをクリニックで採用していたため、Covid-19であることがわかったのでした。