昨年6月に生まれた双子のジャイアントパンダ、シャオシャオとレイレイの一般公開が1月12日、上野動物園(東京都台東区)で始まる。初日から3日間の観覧の抽選倍率は平均348倍。
シャオシャオとレイレイは公開に向けて、人の視線や声に慣れさせる訓練を進めている。双子は順調に育ち、3日時点でシャオシャオの体重は14.4キロ、レイレイは13.2キロと誕生時から100倍前後に増えた。木登りや、松などのチップを敷き詰めたプールで遊ぶなど元気に動き回り、公開を控えても「特に変わった様子はない」(上野動物園の広報担当者)という。
観覧は年末までに、1日あたり1080人の枠で募集していた。上野動物園によると、初日12日は36万2688人(抽選倍率335倍)、13日36万5201人(同338倍)、14日40万329人(同370倍)と、3日間で計112万8218人(同平均348倍)の応募があった。双子の姉シャンシャン公開時の最大倍率は144倍だったから、関心の高さがわかる。
地元の歓迎ムードも高まる。松坂屋上野店は12日から垂れ幕を掲げ、写真入りの記念ステッカーを配る。広報担当者は「人出が増え、街も盛り上がる」と期待する。同店地下1階でパンダグッズを扱う「上野案内所」も、キーホルダーなどの新商品を売り出す予定だ。
上野の商店主らでつくる上野観光連盟の二木忠男理事長は、パンダが初来日した1972年以来の盛り上がりを期待する。
「双子と母親のいる西園の展示場『パンダのもり』への出入りが増えれば、動物園周辺の人の流れも変わる。街での回遊範囲は今まで以上に広がり、滞留時間も長くなるでしょう」
関西大の宮本勝浩名誉教授は、双子の公開から1年間の経済効果が約308億円に上ると試算している。シャンシャンの約267億円を上回るという。ただし、気がかりなのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。上野動物園は7日、11日からの当面、休園すると発表。双子の観覧は、すでに抽選結果が発表されていた12~14日の3日間だけになってしまった。この状況が長期化すれば、せっかくのお祭りムードも水の泡になりかねない。
「パンダは上野にとって救世主のような存在。今回も幸運を運んでくれると信じています」(前出の二木さん)
コロナ下の沈滞ムードを打破できるか。双子に寄せられる視線は熱い。(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2022年1月21日号の記事を一部変更