体内で過剰な糖質とたんぱく質が結びつき、細胞を老化させる「糖化」にも、ポリフェノールは有効だ。井上教授の研究室で、アルブミン(たんぱく質)、グリセルアルデヒド(糖類)、カカオ抽出成分を合わせる研究を行ったところ、試験管内でアルブミンとグリセルアルデヒドを合わせると茶褐色になり糖化が進むが、カカオ抽出成分を加えると、透明のまま。糖化を抑制できたのだ。
■体重平均約3キロ減
食べ物で若々しくいられるならぜひ試したいところだが、井上教授が「より効果的」とすすめるのが、アーモンド入りの高カカオチョコレートだ。6千ほどの食品サンプルを集め抗糖化作用を調べたところ、アーモンドは上位100位。調理の必要がないので、継続性も高い。
だが、コロナ禍太りが話題になる昨今、チョコやアーモンドを食べると太るのでは、と危惧する人もいるだろう。
「高カカオチョコに最も多く含まれる脂肪は『ステアリン酸』で、体内に吸収されにくい。また、乳製品や砂糖の分量も少なく、カカオ自体の食物繊維が豊富なので、脂肪の排出を高める作用もありますよ」
実際、被験者が4週間高カカオチョコを毎日25グラム食べた研究では、体重は全員変化がなかった。また、男女平均26歳の19人が毎日25粒のアーモンドを食べたところ、6カ月で平均2.9キロ減少。抗酸化成分であるビタミンEや、不飽和脂肪酸でLDL(悪玉)コレステロールを上昇させないオレイン酸の血中濃度は上昇していた。つまり有効成分は体内に吸収されているということだ。
もちろん、食べ過ぎは禁物。高カカオチョコなら1日30~40グラム、高カカオアーモンドチョコは8粒、アーモンドだけなら1日25粒が目安になる。加熱しても抗酸化力に変化はないので、高カカオチョコはカレーに入れてもOKだ。(ライター・羽根田真智)
※AERA 2022年1月17日号