室井佑月・作家
室井佑月・作家
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 作家・室井佑月氏は、米国の顔色をうかがう日本政府の姿勢に苦言を呈する。

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 大きな米軍基地がある場所、沖縄、山口で新型コロナウイルスの感染が拡大した。山口のお隣の広島にも広がった。

 1月8日の「JIJI.COM」の「コロナ検疫に地位協定の壁 基地所在県、止まらぬ感染拡大」という記事によれば、日本政府は在日米軍が震源地とは公に認めてないが、人口10万人当たりの感染者数の上位はこの3県が占めるそうだ。

 記事によれば、米軍側は、昨年の9月から来日に先立つ出国前検査をしていなかったという。オミクロン株は感染力が強い。感染した基地の人たちが基地の外に出て、結果、地域で感染拡大となってしまった。でも日本はなにも言えない。日米地位協定により、米軍関係者の出入国は治外法権となっているからだ。

 そして、またじんわりと「地位協定」を見直した方がいいのでは、という意見が出てきた。当然だ。日本政府は、国民の命や生活が脅かされることになっても、米国の顔色をうかがわなくてはいけないことになってしまっている。

 そんな中で、安倍晋三元首相が、一部の支援者に向けた勇ましい発言をした。

 去年の年末、BSの番組に出演した安倍さんは、

「台湾でなにか有事があれば、『重要影響事態』になるのは間違いない。米艦に攻撃があれば、集団的自衛権の行使もできる『存立危機事態』となる可能性もある」

 などと発言した。

 台湾の問題は非常にデリケートである。そんな簡単に、米中が戦争になるとは思えない、とみなしてのこの発言だろうか。

 しかし、可能性はゼロではない。政治家が、しかも元首相だった人が、母国を戦争に巻き込むような発言は絶対にしてはいけないことだろう。

 米国の経済は、いずれ中国に抜かれる。今のうちにたたいておけば、NO.1の座を死守できるのではないか、という悪魔みたいな輩(やから)がいないとは言えない。

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