本態性鼻炎がアレルギー性鼻炎と異なる点は、目のかゆみなどの症状は出ないところだという。

 そのほかの鼻炎には、カレーやラーメンなど刺激のある熱い食べ物を食べたときに鼻水が出る「味覚性鼻炎」、老化に伴い鼻水が出やすくなる「老人性鼻漏」、妊婦が発症しやすい「妊娠性鼻炎」というものもある。

 鼻水の色や性状、鼻づまりの症状などで原因や病気をある程度判別することは可能だろうか。

「水っぽく、さらさらした鼻水の場合、かぜの初期やアレルギー性鼻炎、本態性鼻炎、老人性鼻漏、妊娠性鼻炎などが疑われます。かぜの場合は鼻水のほか、のどの痛みや発熱もあります。アレルギー性鼻炎ではのどが痛むことは少ないですが、鼻水がのどに大量に流れてきて、痛みを訴える人もいます」(大場医師)

 黄色くネバネバしている、あるいは膿のような鼻水の場合はどうだろう。

「かぜの後期に多いですが、副鼻腔炎や鼻茸(鼻ポリープ)がみられることもあります。ときには、鼻腔腫瘍があるケースもあり、注意が必要です」(前田医師)

 鼻腔腫瘍は片方だけの鼻づまり症状から発見される場合もあるという。

「片方だけの鼻づまりの原因でよく見られるのは、鼻の真ん中の仕切り部分が左右どちらかに曲がっている鼻中隔弯曲症です。ただし、副鼻腔炎や鼻茸、鼻腔腫瘍も考えられます」(同)

 副鼻腔炎とは、かぜやインフルエンザウイルスなどの細菌・ウイルス感染、アレルギー性鼻炎をきっかけにして、副鼻腔の粘膜が炎症を起こしてしまった状態のことをいう。また、鼻腔腫瘍はまれに「鼻のがん」である場合もある。

「鼻腔腫瘍は症状が出にくいため、発見が遅れがちです。特に片方だけの鼻づまりが見られたら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう」(同)

 ほかにも鼻づまりが急に起きたという場合、市販の点鼻薬の使いすぎが原因のこともあるという。

「点鼻薬を使いすぎると、血管収縮剤の成分で薬剤性鼻炎を起こし、かえって鼻づまりを起こします。点鼻薬は1カ月を限度に使いましょう」(大場医師)

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