注文が入ると、アーティストは「梱包ガイドライン」に沿って作品を包み、その写真を運営者であるトライセラアートに送る。基準をクリアしたら、運営者が準備した「配送書類」をプリントアウトし、荷物に貼り付けて待つだけ。運営者が手配した運送会社に荷物を渡せば、作品はあっという間に海を渡る。運搬時の事故も保険でカバーできるため、アーティストは手軽に発送でき、注文者は安心して作品を受け取れる。このスムーズな仕組みは、グローバル企業・ナイキで培った経験の賜物だ。
■コレクターが日本のアート界を引っ張る?!
さて、一般人であってもアート作品を気軽に購入できるインフラは整った。今後、アートはより身近でみんなのものになるだろうか? 井口さんは「特に日本では広がる素養がある」という。
井口さんは、アート作品の購入者を4種類に分けている。(1)アートに造詣が深い「アートコレクター」、(2)車や家のように「アートはステイタスの象徴」と捉える「ファッションコレクター」、(3)インテリアとして楽しむ「インテリアユーザー」、(4)収集癖のある「ライトコレクター」。1と2は富裕層、3と4は一般人に多いが、日本にはオタク文化もありライトコレクターが多いのでは、と分析している。
「フィギュアのコレクションのように、気軽にコレクションしてもらえるようになるといいな、と思います」
好きな絵を家に飾り、それを見ながらお酒を飲んだり、部屋を彩ったり。お金持ちにだけ許されていた世界が、もう身近にあるのだ。
(監修/高橋紀成、文/メディアプロデュース部)