日比野克彦 (撮影/写真部・高橋奈緒)
日比野克彦 (撮影/写真部・高橋奈緒)
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 4月に、東京芸術大学の学長にご就任予定のアーティストの日比野克彦さん。作家・林真理子さんとは、「段ボール小僧」と呼ばれ、先端を行くアートで注目され始めた、20代のころからのおつき合いだとか。

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林:きょうお召しのスーツ、ふつうのとちょっと違いますね。スーツのようでスーツでないような。スーツとインナーのそんなすてきな組み合わせがあるんですね。

日比野:ええ、ネクタイがなくても、いかにオシャレ感を出せるかという……。

林:とてもお似合いです。このたびは東京芸大の学長になられるとのこと、おめでとうございます。

日比野:ありがとうございます。

林:正式な就任は4月ですが、デザイン系からの学長は初めてですよね。

日比野:はい。現学長の澤(和樹)先生は音楽学部ですね。その前の工芸の宮田(亮平)先生や、日本画の平山郁夫先生、彫刻の澄川(喜一)先生は美術学部ですから、昔の東京美術学校時代からの先生たちが学長になることが多かったんですね。僕みたいに先端芸術表現科という専攻からの学長は初めてです。

林:最近、芸大って志望者は増えてるんですか。

日比野:いちばん多いときから比べると、少子化にともない順調に減ってます(笑)。いま倍率は11倍ぐらいかな。

林:日本の大学でいちばん倍率が高いのが、芸大のデザイン科だと聞いたことがありますけど、いま何倍ぐらいですか。

日比野:13倍ぐらいじゃないかな。

林:私のころは45倍とか。

日比野:そうそう、試験会場に45人いると、そこから1人しか入れない時代がありました。

林:芸大って、技術だけじゃダメで、頭もよくなきゃ入れないイメージがありますよね。日本の有名なテノール歌手でも、学科で落とされたから芸大に入れなかった、なんて聞いたことがあります。

日比野:僕は共通一次がなかった時代の最後の世代です。そのときは、実技に受かって、最後の最後に芸大独自の学科試験があったんです。最後にだいたい半分落ちる、っていうイメージだったかな。いまは大学入学共通テストがあるので、学科を受けたあとに、実技に挑みますよね。

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