(C)Tokuko Ushioda, Courtesy PGI
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 インタビューの冒頭、潮田さんは夫で写真家の島尾伸三さんについて、こう語った。

【潮田登久子さんの作品はこちら】

「漫画の『浮浪雲(はぐれぐも)』って、あるじゃないですか。あれを見ていると、ほんとうにこの人、笑っちゃうくらい浮浪雲のおじさんとよく似ている」

 それはなかなか的確な人物評のように感じられ、潮田さんもうまいことを言うものだなあ、と感心したのだが、夫が「浮浪雲のおじさん」では生活が大変だ。

「でも、面白かったですよ。いいことも悪いことも、いろいろ経験させていただいて、鍛えていただきましたから」。潮田さんはそう言うと、「ふふふ」と笑った。

(C)Tokuko Ushioda, Courtesy PGI
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「浮浪雲」は2年前に亡くなったジョージ秋山の代表作。物語の舞台は幕末の宿場町。問屋場(といやば=いまの運送業)を営む主人公の雲(くも)は、いつも仕事そっちのけで遊んでばかり。しかも、無類の女好きときている。

 そして島尾さん自身も「私がスケベで、女の子を口説くのがうまいと、みんなが認めていた」と、あっけらかんと昔を振り返る。

「潮田さんと知り合うまで10年くらい、浪人生だったころからずっと子連れの女の人と一緒に暮らしていたんです」

 一方、潮田さんは「出会ったころ、この人が何をやっているのか、どんな過去があるのか、ぜんぜん知らなかった」と語り、その後も聞かなかったという。

 1月26日から東京・赤羽橋のギャラリー、PGIで開催される「マイハズバンド/My Husband」は、潮田さんが40年ほど前、明治建築の洋館で暮らし始めた家族との日常を写した作品だ。破天荒な夫、そして娘との生活を写した作品は、4年前に潮田さんが土門拳賞を受賞する“原点”でもあった。

■最初は本人と気づかなかった?

 2人の出会いは1977年。きっかけは、島尾さんが写真家仲間とともに潮田さんの作品を本にまとめ、世に送り出そうと計画したことだった。

 当時、潮田さんは専門学校、桑沢デザイン研究所に勤めながら、写真家として見せ物小屋などを写した作品を発表していた。

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明治建築の洋館に住む