一日の勉強時間は平均7時間。どんなに疲れていても体調が悪くても一日一つは英文を読む、1問は解く。「継続」を意識して、地道な努力を積み重ねていった。
1年半後、合格レベルに到達したことを確認した上で、自信を持って1次試験へ。ところが本番で問題を見たとたん、格段に難しく量も多いと感じ、頭が真っ白になった。
「そんなとき、バイト先の生徒たちのことを思い出したんです。本来なら僕が彼らを励ます立場なのに、同じ受験生としてずっと僕を応援してくれていた。それなのに僕がウジウジしている場合じゃないなと。おかげで力を出し切ることができました」
医学生となった今、寺田さんはこう振り返る。
「納得して選んだ道だから、受験勉強を頑張ることができた。そうできる環境にいたことに感謝しています」
とはいえ、寺田さんにとって医学部合格はゴールではない。どの診療科に進むかはまだ決めていないが、患者さんの症状だけでなく気持ちも楽にしたい。「この先生でよかった」と思ってもらえるような医師になることが目標だ。
(熊谷わこ)
○寺田光輝(てらだ・こうき)/1992年三重県生まれ。2010年三重大学教育学部に進学したが中退、12年筑波大学体育専門学群入学。卒業後、ルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズに入団。17年NPBドラフト会議で横浜DeNAベイスターズに6位指名され、入団。19年引退。21年東海大学医学部入学。
※週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』より