かつては、日本のソニーやトヨタが話題を集めていたのが、それが韓国メーカーにそっくり乗っ取られたかのようだ。
さらに2020年のアカデミー賞では、韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」が非英語映画として初の作品賞を受賞し、昨年の大ヒット作「イカゲーム」は2月に行われる全米俳優組合賞(SAG賞)に外国語のドラマとして初めてノミネートされた。「歴史的なノミネーション」と米メディアを今賑わしている。また、アメリカの人気子供番組「セサミストリート」で、昨年末に初のアジア系として登場したキャラの名前はなぜか韓国名の「ジヨン」。アメリカにおける韓国文化の躍進は、とどまるところを知らないようだ。
「(バブル期の)1980年代の日本のように、韓国に対する認識は今広がっています。現在アメリカで最も注目されているのは、東アジアの中では韓国のポップ・カルチャーで、日本はサブカルの地位に追いやられています」
そう語るのは、南部バージニア州にあるジョージ・メイスン大学で、東アジア文化やK-POPについて教えているクリスタル・アンダーソン客員教授である。
幼少期にカンフー映画や「宇宙戦艦ヤマト」を観て、アジア文化に興味を持ち始めたというアンダーソン氏は、かつては1970年代にはブルース・リーなどの影響で中国武術に注目が集まり、1980年代には日本のアニメ文化、そして現在は韓国のK-POPやKドラマがアメリカで強い影響を与えていると指摘する。
しかし、今の韓流ブームが中国や日本のものと違うのは、そのファン層の裾野の広さとアメリカ社会に対する影響力の大きさである。アンダーソン氏はその理由を3つ上げる。
1つ目は、インターネットによるコンテンツの普及である。これまで、地元の本屋や映画館、ビデオ屋などを通してしか、アジアのポップ・カルチャーに触れられなかったものが、インターネットによって米中西部の地方などにいるアメリカ人でも、手軽にアクセスが出来るようになった。