どこのお店に食べに行こうか迷ったとき、グルメサイトなどで、口コミ評価を参考にする人も多いだろう。その評価点の“計算手順”は非公開という。計算手順などをめぐり、裁判も起きた。何が起きているのか。
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大手グルメサイト「食べログ」をめぐり、東京地裁で6月半ば興味深い判決があった。“評価点”を不当に下げる変更をしたと、焼き肉・韓国料理店「コラボ」を展開する韓流村(東京)が、食べログを運営する「カカクコム」(東京)を提訴。判決は食べログの独占禁止法違反(優越的地位の乱用)を認め、3840万円の損害賠償金の支払いを命じた。
争点は評価点の計算手順(アルゴリズム)。食べログは月8763万人以上が利用し、約83万店を計4千万件以上の口コミで、5点満点で評価する。4.0点以上は食べ歩き経験豊富な利用者の多くが高く評価したお店。3.5点以上、4.0点未満は多くの利用者に人気のお店などという。
食べログによると、点数は利用者の評価の単純平均でない。食べ歩き経験豊富な人の影響を大きくする。ある程度の投稿を繰り返す利用者に“影響度”を設定し、影響度は随時変更している。不正対策として、算出方法は詳細を非公開にし、定期的に見直している。
アルゴリズムのあり方やその更新が、透明性や公正性などで問題となった。問題に詳しいグロービス経営大学院教員の鈴木健一さんは「平均値には弱点がある。はずれ値に引っ張られ、はずれ値に弱い」と話す。たとえば、5人の評価のうち、4人が5点か4点だったのに、残る1人が1点をつけると、平均点は大きく下がる。さらに、嗜好性の強い映画などで、いくつかの項目で5点満点の評価をしたとする。鈴木さんは「熱烈なファンは5点ばかりつけ、アンチファンは1点をつけまくる。そういうことが起こりやすい」と話す。
平均値は、計算が楽で、誰にも“大小関係”がよくわかる。しかし、「信頼できる人の評価に重みをつけ、信頼できない人の評価は軽くするなど、何らかの工夫が必要」(鈴木さん)。そこで、食べログなどのプラットフォーム(土台)の運用者は評価に際して、さまざまな工夫をしている。