先日歯の定期健診で歯医者さんに行った際に、奥歯を診てもらうために口を大きく広げられている自分の姿を鏡越しに見て、なんとなく釣り上げられた魚の気分になっていました。
魚の口は、閉じている時の見た目より大きく開くと思いませんか。メバルやカサゴはもちろんですが、アジやイワシを釣った時も、針を外す時に「意外に口が大きく開くんやなぁ」と思っていました。
なかでも筆者が一番驚いたのは、マトウダイの捕食時の口です。あまり一般的ではないので、筆者も映像で見たことがあるだけなんですが。
普段は他の魚と大きくは変わらない風貌ですが、餌の小魚を襲う際には、ゆっくりと間合いを詰めて、口を大きく開いてその口を一気に前へず~んと大きく伸ばして、小魚を丸のみしてしまうんです。
マトウダイの口は普段は折りたたまれていて、捕食時には折りたたんでいた部分を一気に解放して、餌をのみ込むんです。その口を伸ばした顔が馬のように見えることから、「馬頭(マトウ)ダイ」と名付けられたという説もあるそうです。
魚は、我々哺乳類と違って手や足がなく、餌を捕食する際には、口を大きく開けて吸い込んだり、噛みついたりするしかありません。したがって、より効率的に餌を食べられるよう、口が大きく開くように進化したものが生き残ったということでしょうか。
魚の口のつき方は、大きく分けて三つに分けられます。
・オジサンやボラ、ホウボウなどのように、下向きについているもの
・マグロやイシダイ、アジなどのように、まっすぐ前を向いているもの
・スズキやヒラメ、ガシラなどのように、上向きに大きく開くもの
「やや下向きについているタイプ」は、海底の砂の中にもぐっているゴカイやエビなどを探して餌にしているものが多くなっています。このタイプの口は、それほど大きく開くものは少ないように思います。
下向きの口の代表に「オジサン」という魚があります。
通称と思われている方も多いのではないでしょうか。実は、スズキ目ヒメジ科のれっきとした正式名称なんです。だから、メスの「オジサン」もいるということになります。