2月4日に開幕する北京冬季五輪。フィギュアスケートの男子シングルスでは、羽生結弦選手とネイサン・チェン選手が話題になりがちだが、注目すべき選手は多い。日本勢では宇野昌磨選手と鍵山優真選手もメダル圏内だ。AERA 2022年2月7日号の「北京五輪」特集記事から紹介する。
* * *
羽生結弦(27)とネイサン・チェン(米国、22)の2強の戦いのなか、虎視眈々(こしたんたん)とメダルを狙うのは、宇野昌磨(24)、鍵山優真(18)、そしてヴィンセント・ジョウ(米国、21)らだ。
宇野は今季、フリーで「4回転5本」という挑戦を掲げ、飛躍のシーズンを送っている。平昌五輪シーズンを最後に封印していた4回転ループを入れ、4回転サルコウも加えた。昨年11月のNHK杯では自己ベストを更新する290.15点をマーク。目を輝かせながら語った。
「この数年間、表彰台に上がれないシーズンが続いていましたが、ようやく世界のトップで戦える存在に戻ってこられました。トップで戦えるようになった自分にうぬぼれず、高い難度の構成ができるよう、課題を練習していきたいです」
全日本選手権は直前に右足首をけがした。得意の4回転フリップは痛みをこらえる状況だったが、ショート、フリーともに意地で成功。フリーでの4回転「5本」からも逃げなかった。気迫の銀メダルである。
「僕の構成は挑戦なんかじゃなく、これが僕にとってのベース。羽生選手や鍵山選手のように、加点がもらえるジャンプを跳ばないといけないと思います」
そして、こう4年を振り返る。
「ここ数年は、結果よりも残りのスケート人生を楽しめたらいいなという思いでやっていました。でも鍵山選手や佐藤駿選手、三浦佳生選手らの後輩が出てきて、こんなすごい選手たちから尊敬しているという言葉を聞いて、誇れる選手でいたいなと思いました」
鍵山は、まるでソチ五輪シーズンの羽生のように、猛スピードでお兄さんたちを追いかけている。昨季は世界選手権で銀。予想外の重圧を背負った今季前半は不調も経験しながら、大崩れしない戦い方を身に付けた。