うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
【子どものウソに潜む「心のSOS」 4タイプでわかる本当の理由】
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近ごろ、「教育虐待」という言葉が注目されるようになってきています。
最初、この言葉を聞いたときは、教育をせずに放棄してしまう行為のことかと思いましたが、どうやら逆のようで……。教育虐待とは、教育熱心という範囲を超えて、親が子どもに勉強を押しつけすぎてしまうことをいうそうです。
■「相手のためを思ってやっている」との勘違い
あまりに勉強を押しつけてしまうがゆえに、子どもがうつ病や不眠症など精神的に病んでしまい、ひどい場合には保護シェルターに逃げ込んでくる子もいる、とのこと。
この虐待の恐ろしい点は、加害者側が「自分は相手のためを思ってやっている」と思い込んでいるため、相手を追い詰めている自覚がないことです。
肉体的な暴力のように目で見えるものではないため、まわりからも気づかれにくく、なかなか救い出すことが難しいように思います。
振り返ってみると、今まで出会ってきた中で、あれは「教育虐待」ではなかったかと思い当たる子が何人かいます。
たとえば過去に、知り合いが家庭教師として教えていた小学生は、1週間が習い事で埋め尽くされていました。東京の有名進学塾に通い、そことは別の算数の塾に行き、家庭教師として友人のほかにも、もう一人先生を頼んでいると話していました。
ただでさえ、そんなぎゅうぎゅうづめのスケジュールなのに、さらに運動のためにテニスも習っていました。
■「人生に疲れた」とこぼす小学生
その子はまだ小学生だというのに、頻繁に、「人生に疲れた」という言葉をこぼしていたのを思い出します。ストレスから家の壁に穴を開けてしまったこともあったと聞きました。