羽生結弦選手の北京五輪のSPの演技
羽生結弦選手の北京五輪のSPの演技
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 北京五輪の注目競技の一つといえば、フィギュアスケート。会場に直接足を運んでいたコアファンたちは、このコロナ禍でどうしていたのだろうか。スケートファンの間でも、羽生結弦選手は、別格の存在。ショートプログラムでは8位発進となったが、10日のフリーでは、自身が「最終目標」と語るクワッドアクセル(4A=4回転半ジャンプ)の世界初成功を狙う。リンクの外で熱視線を送るファンたちの五輪までの道のりをレポートする。

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「羽生選手の年齢を考えると、あと何回、試合で見ることができるか……」

 長年のスケートファンで、ジュニア時代から10年超の羽生結弦ファンという田中育子さん(仮名・44・会社役員)。昨年12月に埼玉で開催された全日本選手権の会場に足を運び、現地で羽生選手の演技を観戦した。演技を目の当たりにし、その強さを改めて実感したという。

「コロナでもう二度と、生で見られることはないのかもと思っていたので、間近で見られた時は本当うれしかった。4年前より、さらに強くなっています」

 北京五輪で、94年ぶりとなる五輪3連覇に挑む羽生選手。SPを終え、前回大会銀メダルの宇野昌磨、初出場の鍵山優真もメダル争いに食い込んでいる。金メダルを狙うネーサン・チェンら米国勢と日本勢が、金メダルを争う。

 ただ、中でも北京五輪の“主役”とも言われるほどに世界中から注目を集めているのが、やはり連覇王者・羽生選手だ。

 2月3日には、日本スケート連盟の公式ツイッターを通じて動画でメッセージを寄せ、「北京五輪ではもちろん4Aも含めて、絶対に勝ちを取りに行きたいと思っている」と語った。

 羽生選手は18年の平昌五輪以降、この4回転半ジャンプの成功に心血を注いできた。4回転半ジャンプの基礎点は12.5点で、これまで公式戦でも成功させてきたルッツとは1点の違いしかない。前人未到の難易度、そして怪我のリスクも考えると挑戦を危ぶむ声も多いが、プログラムに組み込む決断を下し、さらなる技の達成をもって3連覇に挑む。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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