エピソード3に登場した記憶喪失の爆弾魔・三船三千夫(柄本佑)が、これまた奇妙。彼もまた名前の通り(?)3にこだわる男だ。3拍子のワルツが好き。時計は30分進ませて、三好達治の詩を口ずさみ、3の話ばかりする。浅草の三社祭、ゴジラは300m、東京タワーは333m。
3の謎を解明し、30分早く3時に爆発するはずの「三度目の正直」な爆破事件を阻止する整。これだけ「3」を発するドラマあったでしょうか。
もしもここに「3の倍数と3がつく数字の時だけアホになります」の世界のナベアツ(現・桂三度)がいてくれたら、とんでもないアホ祭りが見られたはず。
毎回奇妙な犯人と、その謎を解く奇妙な青年。どれだけの奇妙を繰り出せるか、俳優たちの底力が試されそうな本作。
たびたび出てくるのはカレー作りのシーン(作っても食べられない所までがお約束?)。本作にちりばめられるスパイスのような謎。それをまとめあげると思いがけない真相=カレーが完成する。
さあ召し上がれ、その名も「ミステリと言うなカレー」。ととのいま……せんでしたか?
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2022年2月18日号