リズムダンスは小松原美里(29)・小松原尊(30)組が7位、ペアは三浦璃来(20)・木原組が4位につけた。そして女子ショートは、当日朝まで緊張のコントロールに苦しんだ樋口だ。
「朝練のあとは、色々な人から『自信持って今まで通り』『やってきたことを思い出して』とメールをもらいました」
励ましを胸に臨んだ本番。軽やかに3回転ルッツ+3回転トーループを成功させると、パーフェクトで滑り抜いた。74.73点で2位となった。
「74点出たなら、個人戦はトリプルアクセルを入れたらもっと点を伸ばせると思いました。応援のお陰で頑張れました」
樋口の健闘で、総合3位で決勝に進んだ日本。4位以下を突き放したのは、男子フリーを滑った鍵山優真(18)だった。4回転ループも含め、一つもマイナスのつかない演技を披露。五輪の魔法にかかったような時間だった。
■勇気が芽生えた
「4回転ループも、後半の4回転トーループの連続ジャンプも、初めてだったので、良い経験だと思ってやりました。新葉ちゃんが良い演技をしたので、勇気が芽生えました」
鍵山は208.94点で1位をマーク。現採点になってから世界3人目の200点超えとなる快挙だった。
続くペアのフリーも、三浦・木原組が一つ一つの技をていねいにこなし、2人の世界観を作り出す。自己ベストの139.60点をマークすると、トップ組がミスを連発するなか、2位に。2種目残した時点で、メダルが決定した。木原は言う。
「過去2大会、チームメートにすごく申し訳ない気持ちがありました。8年間悔しかった思いを、少しは晴らせたのかな」
結果はROC(ロシア・オリンピック委員会)が金、米国が銀。一方、国際オリンピック委員会(IOC)は9日、法的な問題で表彰式が遅れていると明らかにした。ROCのカミラ・ワリエワ(15)にドーピング問題が浮上したためだ。(ライター・野口美恵)
※AERA 2022年2月21日号より抜粋