42歳での電撃結婚。伝説の高齢出産から4年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、水野さんが想像と現実は違うと突きつけられる、舞台・結婚生活・我が子の食事についてお届けします。
【我が子が想像でつかんだ幸せとは…唐橋充さんのイラストはこちら】
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楽しいことの予定を立てている時が人生で一番幸せな瞬間の一つだ。
遠足の前夜が楽しいとはよく言ったもんだ。
舞台の公演を打つにあたって、一番楽しいのはどこかと問われたら、ポイントはいくつかある。
まずは、かなり初期段階のアイデア出し。セットや衣装、キャストなどのアイデアを自由に出してイメージを共有していく作業。
これは楽しい。ただただ何の制約もなく自由に夢を語る時間。
「フライングやりたいね?」とか「こんな映像使えるかな?」とか「この人出演してくれるかな?」とか「こんな衣装作れるかな?」とか。
その後、現実的に可能な予算枠の中に落とし込んでいかなければならないが、それは未来の自分に丸投げ。この段階では自由に夢を見る。
この段階の想像の中で舞台に立っている自分はとても楽しそうだ。これ以上楽しくて素敵なことはないと思うくらいにワクワクしている。
そりゃあもう、とにかく都合よく楽しいことばかり想像する。
その後にやって来るのはもう、産みの苦しみだ。いくつもの「大変!」を乗り越えて「プチ達成感」を得る工程の繰り返しだ。
そして千秋楽を終えたら、しばらく腑抜けになる。安堵からくる脱力だ。
実際に公演が始まると、プレッシャーやら緊張やら蓄積疲労で、楽しむどころではない。過去の自分を恨むほどだ。
楽しい時間に比べて苦しい時間の長いこと長いこと。あの、初期段階の想像の中の楽しさは、この世に存在しないものなのだ。
想像の中の自分には、蓄積疲労がない。プレッシャーも緊張もない。現実とは全く違うものだ。