上記以外に、漢方薬や、うつ病を併発している場合には抗うつ薬を使用することもある。

 睡眠衛生指導や薬物療法で改善しない場合、認知行動療法をおこなうことも。これは、考え方や行動の習性を変えることで症状を改善する治療。欧米では不眠症に対して最初におこなうべき治療法だが、日本では保険適用外となり、実施している医療機関は限られる。

■眠れる自信がつけば減薬・休薬する

 薬物療法は、不眠の症状が改善され、患者に「眠れる自信」がついてきたら減薬・休薬をすすめる。

「最初に薬を処方するときに、この薬はずっと飲み続けるものではなく、必ずやめるものであることを患者さんに伝えます。患者さん自身がそういう心構えをもつことが、薬物療法を始めるうえで重要です」(栗山医師)

 そうしないと、いきなり「薬をやめる」と言われ不安になる患者も多いという。薬物療法の期間には個人差があるが、「目安としては1~2カ月程度」と栗山医師は言う。

「望ましいのは、患者さんが生活の中で眠りのことを考えないですむ状態になること。良い活動ができるために必要最低限の睡眠がとれれば十分です。楽しく生活を送れるようになり睡眠の状態が気にならなくなることが、不眠症治療のゴールと考えています」(同)

(文・出村真理子)

週刊朝日  2022年2月25日号

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