「『丁寧』、という言葉がすごく当てはまる選手です。ファンにも丁寧ですし、どんな物事も全力でしっかり取り組む。随分前、スケート仲間の間でけん玉が流行(はや)っていた時も、彼は本物の競技者のように真剣に練習し、一つひとつの技を積み重ねていました。今回、試合直後の会見ではいつもよりあまり言葉が出てこないように見えましたが、それでも質問に対して誠実に答えようと、色々な言葉を絞り出していた。すごく彼の内面がにじみ出ていたと思います」
羽生は3月にフランスで開催される世界選手権の代表にもなっているが、試合後、今後について尋ねる報道陣の質問には、「ちょっと考えたい。それくらい今回やりきっています」とだけ答えた。
4回転半を着氷する夢のシーンは見られるのか。
「もう少し回転がつけば、その時点でぽんと降りる可能性も、大いにありうると思います」(佐野氏)
記録にも記憶にも残る羽生の「伝説」。その次の一ページを、世界が待ち望んでいる。(本誌・村上新太郎、大崎百紀/菱守葵)
>>【関連記事/宇野昌磨、スケートへの向き合い方に変化? 18歳の新星・鍵山優真の存在】はこちら
※週刊朝日 2022年2月25日号