2022年2月22日は2が6つも並ぶ、800年ぶりのスーパー猫の日。好評発売中のAERA増刊「NyAERA 2022」からほんの一部を抜粋、特別編をお届けしますニャ!
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「カラスにつつかれてる所を親父が拾ってきたんだけど、めっちゃ好かれてて笑った」
新聞を読む初老の男性の肩に乗るほわほわの黒い子猫の写真とともに、Turiさんがツイートしたのは、21年4月14日のことだ。
黒猫の名はるる。このツイートをきっかけに、Turi家と世間にやさしい気持ちを呼び起こす、みんなのアイドルになった。
3月5日、Turiさんの父が昼食を買いに出て、カラスに襲われているところを救出した。職場に連れて行き引き取り手を探すが見つからず、そのまま自宅に連れ帰った。
「親父は仕事一筋の人間でした。家族で定年後を心配していたくらいだったんです」(Turiさん)
動物好きの節は以前からあった。一家は複数の犬や猫と暮らしたが、弱った彼らを見つけてくるのは概ね、「父でした」。ただし、仕事に邁進する父に代わり、動物たちの面倒を見るのは母。だから、「子猫を連れて帰る」と連絡を受けた時も、母は少し戸惑った様子だったのだという。
子どもたちの反応はさまざまだったが、歓迎する姿勢は一貫していた。
「母も忙しいから大丈夫かな。でも兄弟がいるし、何かあったら援護できる」(Turiさん)。
「命と向き合うのは少し心配。迎えることは賛成」(妹)。「ええじゃん! お母さんはまた動物と暮らしたいって言いよったし!」(弟)。「来たるべくしてきた。運命なんじゃけえ、一緒に暮らしゃあよい!」(兄)。
るるを迎えて、家族LINEは活発になった。るるは両親に全力でなつき、子猫らしい冒険を繰り広げる。その様子を母親が撮影してLINEに投稿する。
父を起こして一緒に階段を下りてくるルル、毎朝の新聞を巡る攻防、一緒のお昼寝、父の帰りを待つ小さな後ろ姿――。最後に出勤する朝も、るるがちょこんと見送った。